ビジネススキル:仕事の基本! (仕事をきちんとこなすとは)
はじめに
企業において「仕事をきちんとこなすとはどういうことか」を十分に意識しないまま業務に取り組んでいる若い社員が少なくないと感じております。特に、中小企業においては、若手育成の重要性がますます高まっており、そのためには、若手社員に対する意識改革が不可欠です。本コラムでは、私が38年間の経験を通じて考えてきた「仕事をする上で最も基本となる仕事の仕方」についてお話しし、読者の皆様が日々の業務に役立てられるような示唆を提供できれば幸いです。
1. 仕事をきちんとこなすとは
仕事をきちんとこなすとは、単に業務を完了することではありません。それは「仕事を期日までに正確に仕上げる」ことを指します。この基本的な原則は、すべての業務の基盤となり、若手育成の中心的なテーマでもあります。成長を目指す若手社員にとって、この原則を理解し実践することが、信頼される社員へと成長するための第一歩となります。
(1)期日までに仕上げる
仕事を期日までに仕上げるためには、まず計画を立て、どのような優先順位で仕事を進めるかを考えることが重要です。計画の立て方は、時間管理とタスクの分割がカギとなります。計画に基づいて業務を進めることで、仕事の仕方が整い、最終的には効率的な業務遂行が可能となります。期限の提示がない場合には、自ら聞くことが計画作成には重要です。
若手社員が期限を守ることは、上司や同僚から信頼ある社員として認識されるための第一歩であり、必須のスキルです。
計画の重要性をさらに深掘りすると、上記したように優先順位の設定は無視できません。すべてのタスクに同じ重みを与えてしまうと、重要な業務が後回しになり、結果的に期限に間に合わない事態が生じます。若手社員には、重要度と緊急度を見極めるスキルを養うことが求められます。これはリスキリングを通じて強化され、成長を促進する大切な要素です。
(2)正確に仕上げる
正確に仕上げることは、単にミスなく作業を終えるだけでなく、依頼者の要求を的確に理解し、それに基づいて成果物を仕上げることを意味します。ここで重要なのが「要求理解」です。要求を誤解したまま業務を進めると、不要な作業や手戻りが発生し、仕事の効率が著しく低下します。
例として、システム開発のようなプロジェクトでは、お客様の要求仕様に対して要件定義書を作成し、これを双方で了解した上で開発に着手することがとても重要です。これを怠ることにより、開発したものが、お客様の要望と大きく異なり、後に大きな問題が生じ、場合によっては納期遅延や追加コストの発生、さらには顧客との信頼関係の崩壊にも繋がりかねません。場合によっては訴訟に発展することも少なくありません。
このようなリスク管理を徹底するためには、若手社員の段階から要求理解の重要性を強く意識させ、計画的な業務遂行ができるように指導することが不可欠です。また、正確に仕上げるという姿勢は、単なる品質管理の枠を超え、企業の成長に直結する重要な要素であることを認識すべきです。
2. 仕事の仕方:計画と優先順位
先に述べたように、仕事をきちんとこなすためには、計画と優先順位の設定が不可欠です。この二つがしっかりと整備されていないと、いくら努力をしても効率的に仕事をこなすことは難しくなります。特に若手社員には、計画の立て方や優先順位の設定について早期に理解させ、実践させることが重要です。
(1) 期日を守るための計画
計画の立て方は、仕事の仕方において基本中の基本です。計画がしっかりしていれば、仕事を効率よく進めることができ、結果として期日を守ることができます。計画は、タスク全体を把握し、それを細かく分割して、各タスクに優先順位をつけることで構築されます。この計画力を養うことで、若手社員は成長し、組織における信頼を獲得することができるのです。
例えば、あるプロジェクトが複数のタスクに分かれている場合、まずはタスク全体を見渡し、その中から最も重要で緊急度の高いものから取り掛かることが求められます。この際、上司や関係者とコミュニケーションをとり、計画に対するフィードバックを得ることも重要です。このような計画的な仕事の仕方が、成長を加速させる要因となります。
(2)優先順位の設定
優先順位の設定は、計画の実行段階で特に重要なスキルです。優先順位が適切に設定されていないと、重要なタスクが後回しになり、結果として業務全体に悪影響を与えることがあります。若手育成においても、優先順位を設定する力を育てることが非常に重要です。
優先順位を考える際には、まずタスクの重要度と緊急度を見極めます。これにより、限られた時間を効率的に使い、期日を守るための効果的な時間管理が可能になります。たとえば、日常業務とプロジェクト業務が並行して進行している場合、まずは期日の近い重要なプロジェクトに集中し、それを終わらせてから次のタスクに取り掛かるといった形です。これにより、仕事の仕方が効率的に改善され、若手社員の成長が促進されます。
3. 仕事の質を向上させるために
仕事の質を高めるためには、単に経験を積むだけではなく、計画の立て方や優先順位の設定といった具体的なスキルを習得することが重要です。これらのスキルは、意識改革と共にリスキリングを通じて強化され、社員全体の成長を促進します。
(1)研修の利用
研修は、社員が専門スキル以外の重要なスキルを学ぶための絶好の機会です。しかしながら、このようなテーマに特化した研修は多く存在しますが、弊所で提供する専門以外のスキルとして上記のテーマを含んだ包括的且つ厳選したテーマで構成された研修を提供ところはあまり存在しません。
研修を通じて、若手社員が自己のスキルを高め、成長する機会が増えます。特に意識改革を図るための研修は、企業のパフォーマンス向上にも寄与します。また、若手育成の一環として、計画的な仕事の仕方を学ばせることで、組織全体の業務効率が向上し、成果が上がることが期待されます。
(2) 自立と主体性の育成
自立心と主体性を持った社員が増えることで、企業全体の成長が促進されます。若手社員には、問題が発生した際には、自ら様々なアプローチを試みて解決する姿勢が求められます。これにより、単なる受け身ではなく、積極的に業務に取り組む姿勢が育まれます。
若手育成においては、自立心を持った社員が成長し、リーダーシップを発揮できるような環境を整えることが求められます。意識改革を図り、仕事の仕方を改善することで、より高い成果を上げることができるのです。
4. 若手社員への期待
若手社員に対する期待は大きく、彼らが成長することで企業全体の成長が加速します。若手育成を効果的に進めるためには、まず彼らが仕事をきちんとこなすための基本的なスキルを習得し、意識改革を図ることが重要です。
(1)信頼される人財へ
若手社員が早期に「仕事を期日までに正確に仕上げる」能力を身につけることは、信頼される人財へと成長するための第一歩です。信頼されることで、より重要な仕事を任され、さらなる成長の機会が広がります。これは、若手育成において最も重要なポイントの一つです。
信頼される人財になるためには、まず計画的な仕事の仕方を習得し、依頼者の要求を的確に理解し、業務を遂行する能力が求められます。
(2)自覚と責任感
若手社員には、自分の業務について対価を得ているという自覚を持ち、責任感を持って業務に取り組むことも重要です。対価について、意識していない人が多く存在しますが、これにより、仕事に対する取り組み方が変わり、成果も大きく向上するでしょう。自覚と責任感が、仕事の仕方を変え、成果を大きく向上させる原動力となります。
若手育成の一環として、自覚と責任感を持たせるための指導やサポートが重要です。これにより、若手社員が成長し、組織自体が向上するのです。
まとめ
企業の成功には、専門スキル以外の重要性を理解し、実践することが不可欠です。専門スキル以外についてはなかなか上長も時間が取れず、OJTで十分教えられないことが多いのも事実です。計画の立て方、優先順位の設定、要求事項理解の重要性を理解し、研修を通じてこれらのスキルを磨くことで、社員はより高いパフォーマンスを発揮できるようになります。特に若い社員には、自立し主体的に行動する力を身に付け、信頼される人財へと成長してほしいと願っています。
「仕事をきちんとこなす」とは、単に業務を完了することではなく、期限を守り、依頼者の要求に正確に応えることです。これを意識して日々の業務に取り組むことで、個々の社員だけでなく、組織自体が向上します。
専門スキル以外の重要性を理解し、それを実践することで、企業は持続可能な成長を遂げることができるのです。
東京都内の企業様へは直接研修詳細のご説明に伺います。
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この記事を書いた人
森田 浩史 代表・ビジネススキルアドバイザー、日立グループで38年間ITエンジニア・マネージャーとして培った経験を若手に提供
若手育成の専門家として、中小企業さまを中心にご支援させていただきます。