自分の先生をたくさん作る(仕事のスキルアップ・効率化への近道)

みなさんは、職場でたくさんの先生を持っていますか?

はじめに

職場において、複数の先生を持つという考え方をお持ちでしょうか?

新入社員でなくても、職場が変わったとき、新しい分野の仕事になったときには、わからないこと・未知の課題に直面することがたくさんあるかと思います。

これらを解決することは、社員の育成や効率化、スキルアップの推進として非常に重要なことです。

特に中小企業や人事担当者の皆さまにとって、重点テーマではないでしょうか。

本コラムでは、「自分の先生をたくさん作る」というテーマを通じて、個人の成長や企業全体の競争力向上に役立つ視点を提供します。

1.私がこの手法を取り入れたきっかけ

もともとは、私が新人の時にわからないことがあって困っていました。半導体関係の仕事をしようとして入社したものの、ソフトウェア開発の職場に配属されたのが一つの要因でした。このような状況は多くの方が経験しているのではないでしょうか。

質問をしたいときに同じ先輩に同じことを2回までは聞けますが、3回目はやはり躊躇してしまいます。そこで、もっと先生をたくさん作ろうと考えました。

周りには当然ながら自分より優れた先輩方がたくさんいるのですから。

最終的に自分のスキルになればいいのです。特に私の若いときは、インターネットのない時代でしたから、本を読んで調べることも必要ですが、人に聞くことも大切です。コミュニケーションの練習にもなりますし、何といっても仕事の効率がまったく違います。

2. 職場における先生の役割

新しい仕事に直面した際、特に若い人の多くが感じるのは「何をどうすれば良いか分からない」という不安です。この状況において、すでに知識や経験を持つ人に教わることは、効率的な問題解決の第一歩です。

例えば、専門用語が分からない場合でも、知識豊富な同僚や上司に尋ねることで、解決への道筋が見えてきますし、より深いスキルアップへとつながります。これは新人だけでなく、キャリアを積んだ後でも有効なアプローチです。

新しい部署に配属された若手社員が技術的な問題に直面した場合には、経験豊富な先輩に具体的なアドバイスをもらうことで効率的に問題を解決できます。これにより、作業時間が短縮されるだけでなく、上述したように若手のスキルアップにつながります。

特に教育に時間を割くのが難しい中小企業では、若手社員が学ぶ機会を最大化するためにも、社内外のリソースを活用して「先生」を増やすことが求められます。これにより、単なる知識の伝達に留まらず、実践的なスキルアップとなります。

3. 新人だけではない自分の先生を作る有効性

私は情報通信の専門でしたが、マネージャーになってからも公衆網関連の開発から自動運転に関するネットワークシステムの開発に変わったときは、とても苦労しました。

例えば、皆さんが当たり前に使っている用語がわからないのです。

調べればわかるものもありますが、マイナーな用語はネットにない場合があります。また、技術的なことがらでも、不明な点が多く、そのシステムを熟知した先人の知恵が必要でした。

こんなときには、既に知っている人に聞くのが効率的です。

新人の時とは違い、新たに感じたのは、「人は頼られることが好きな生き物」と言うことです。

ぜひ、躊躇せずたくさんの先生を社内外にたくさん作ってください。そして、たくさん質問して多くの知識、考え方を手に入れましょう。


4. 複数の先生を持つことのメリット

(1)質問しやすい環境の構築

同じ質問を何度もするのは気が引けるものです。しかし、複数の先生がいれば、それぞれに異なるタイミングで質問をすることが可能になります。また、質問することでコミュニケーション能力も向上します。

例えば、新人社員が同じ質問を3回するのではなく、異なる3人の先輩に1回ずつ質問することで、遠慮なく疑問を解消できる環境を作ることができます。このような環境が整うことで、社員同士の関係性も強化されます。

(2)多角的な視点の習得

例えば、同じ質問を3人の先生にした場合、全員が正しい答えを教えてくれるものの、その答え方や視点は異なる可能性が高いでしょう。これにより、単なる問題解決に留まらず、多角的な視野を養うことができます。

すなわち、回答はみんな正解ですが様々な考え方を勉強することができます。答えを教えてくれた方々以上の情報が手に入るのです。

このような経験は、職場での効率化や業務改善に寄与します。

実際に、製品開発プロジェクトで異なる専門性を持つ3人の先輩から意見を聞いた結果、最適な解決策を見つけた例もあります。このような取り組みは、企業全体の競争力向上にもつながります。

(3)頼られる喜びを提供

人は頼られることで自己肯定感が高まり、教える側のモチベーションも向上します。これにより、職場全体の雰囲気が良くなり、若手育成の効果が一層高まります。

例えば、若手社員が「先輩のおかげで解決しました」とフィードバックを返すことで、教える側の満足感が増し、さらに良いアドバイスを提供する動機付けにもなります。

5. 若手育成と効率化への応用

(1)社内外のネットワーク構築

若手社員が効率的に成長するためには、社内だけでなく、社外にも目を向けることが大切です。例えば、業界の勉強会やセミナーに参加することで、外部の先生を見つけることができます。これにより、最新の知見を取り入れつつ、実務に活用することが可能になります。

例として、若手社員が業界イベントで出会った外部の専門家に相談し、新しいスキルを獲得したケースがあります。このような取り組みは、個人のスキルアップだけでなく、企業全体の成長にも寄与します。

(2)フィードバックの仕組み

先生役となる先輩や同僚からのフィードバックを効果的に活用することも重要です。特に中小企業では、日常のやり取りの中でフィードバックを行う仕組みを整えることで、若手のスキルアップが加速します。

例えば、週次で行うチームミーティングで進捗を共有し、先輩社員から具体的な改善案をもらう仕組みを導入すると、効率的な成長が期待できます。

(3)知識共有文化の醸成

複数の先生を持つという考え方は、知識共有の文化を職場に根付かせることにも繋がります。これにより、個人の成長だけでなく、組織全体の効率化が期待できます。

例えば、社内のナレッジ共有ツールを活用して、得た知識やノウハウを共有することで、組織全体の学習効率を高めることができます。

私が若いときは、部内でノウハウシートを作成し、共有しておりました。現在では、メルマガのように各自がノウハウシートを作成した時にメールで回覧する、あるいは、技術分野ごとにデータベース化しておくなども有効です。ぜひ、貴社での知識共有の一つのヒントとしていただければ幸いです。

6. スキルアップのための具体的な行動

(1)先生を見つける方法

  • 上司や先輩に直接質問する
  • 同期や後輩の得意分野を理解する
  • 外部セミナーや勉強会に参加する
  • オンラインコミュニティやSNSを活用して専門家とつながる

(2)質問の工夫

  • 明確な質問を心がける
  • 一度聞いた内容を記録し、次回に活用する
  • 違う人に同じ質問をして、視点の違いを学ぶ
  • 質問の意図を事前に整理しておく

(3)振り返りと知識の定着

得た知識を自分の言葉でまとめることで、理解が深まり、実務に活かしやすくなります。定期的な振り返りは、効率的なスキルアップに欠かせません。

例えば、毎日の業務終了後に10分間振り返りの時間を設け、その日学んだ内容を簡単なメモにまとめる習慣をつけることで、知識が定着しやすくなります。

おわりに

「自分の先生をたくさん作る」というアプローチは、若手育成や職場の業務効率化、個人のスキルアップに直結します。特に教育に時間の取れない中小企業の経営者や人事担当者にとって、この考え方を組織に取り入れることは、競争力を高める鍵となるでしょう。

皆さんもぜひ、社内外に目を向け、たくさんの先生を見つけてください。その結果、個々の成長が企業全体の成功に繋がるはずです。

例えば、日常の業務で得た経験や新たな知識を共有する文化を持つことで、企業の競争力が向上します。個々の取り組みが職場全体の成功に貢献する未来を目指しましょう。

同じことは何度も聞きづらいものです。しかし、先生がたくさんいれば、同じことを遠慮なく聞けます。先生がたくさんいれば、様々な角度の回答が得られます。

複数の先生を持っている人はいますか?

上司や先輩だけでなく、同期などでも、ある知識に長けた人はいますよね。入社後だけでなく、新しい職場、新しい分野への参入時は、分からないことばかり。

ぜひ、いい先生を早く、たくさん見つけましょう!

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この記事を書いた人

森田 浩史 代表・ビジネススキルアドバイザー、日立グループで38年間ITエンジニア・マネージャーとして培った経験を若手に提供
若手育成の専門家として、中小企業さまを中心にご支援させていただきます。