スキルをアップデート 〜自分の強み・弱みを知り、未来の成長につなげる「棚卸」のすすめ〜

はじめに

若手としてキャリアを歩みはじめた皆さんにとって、「自分にはどんな強みがあるのか」「どんなスキルを伸ばすべきなのか」を把握することは、ビジネスの世界での成長に欠かせません。

しかし、その多くは“学んだつもりのまま”で整理されず、成長の実感につながらないまま放置されがちです。


若い世代ほど吸収速度が速いからこそ、定期的に立ち止まり「何を身につけたのか」「どんな成長があったのか」を確認する作業――つまりスキルの棚卸が重要になります。

若手育成の観点から見ると、成長の実感を得ることはモチベーションを保つ源になります。

ここでは、「スキルの棚卸」をどのように行えば良いか、そしてそれがどれほどスキルの向上に役立つのかを体系的に整理します。


第1章 スキル棚卸の基本的な考え方

みなさんは、自分のスキルを管理していますか?

ぜひ、みなさんには、定期的に自分の得意を棚卸して欲しいと考えています。
とは言ってもそんなに簡単に新しいスキルは、身につかないかと思いますので、
少なくとも年に1回程度はやっていただきたいと思います。できれば、毎期末に!

「スキル棚卸」は成長の“定点観測”です。特に若手のうちは、毎年多くの新しいことを学びます。そのため、年に一度だけでも棚卸を行うことで、自分でも気づいていない成長を発見できます。

若手育成では「見える化」が重要です。自分の成長が言語化されると、次に学ぶべき方向が定まり、仕事への意欲も高まります。


第2章 仕事と社外活動で身につくスキル

(1)仕事でのスキル向上
できれば毎日、日記のようにやったことを記載して週末に自分のスキルを見つめなおしてください。これは若い頃ほど重要で、一週間で例えば議事録の書き方を覚えた、ChatGPTの利用方法を覚えたなど振り返り、まとめておくことが大切です。

こんな小さいこと(スキル)と考えず、知らない人から見るとしっかりとしたスキルとなることは多くあります。自分でスキルとして学んだ実感があれば、ぜひ記載しておいてください。

(2)社外でのスキル向上
棚卸のスキルは社内での仕事からの学びに固執する必要はありません。
例えば、自らスクールやセミナーに通う。あるいは、書物から学ぶこともあるかと思います。
「読んで知っている」ではスキルとならないので、是非学んだことを自分で実践して使えるスキルとしてください。

また、スキルを客観的にわかるように英会話スクールなどで学んだ場合には、TOEICなどで“見える化”しておきましょう。第三者からの評価に利用できる重要な指標となります。

仕事の中で得るスキルも大切ですが、社外の学びを積み重ねると“視野の広さ”が身につきます。
特にスキルの中には、「社外の経験からも得られるもの」も多く存在します。

例えば、
・コミュニケーション力
・自己管理能力
・資格や語学
・生活習慣(自己管理・健康・時間管理など)
・趣味で獲得したスキル(例:動画編集、写真、文章力)
などは、仕事と社外学習の両方で育ち、相補的に進化します。

若手育成では「主体的な学びの姿勢」が成長スピードに大きな影響を与えます。
企業にとっても、社外学習を積極的に行う若手は、将来の投資価値が高い人材といえます。


第3章 スキルの棚卸の手順と分析

一年を振り返り、何が自分のスキルとなったかを書き出してみてください。これを毎年続けることは効果的です。

さらに、今後のスキル習得も踏まえ以下の項目について評価をしてください。


(1)身に着いたスキルで最も自信があり、アピール力の高いスキル
(2)まだ身についていないが、近い将来必要になるスキル
(3)必要な時期は不明だが、今自分に足りないもの
(4)自分のスキルとして伸ばすべき方向
(5)弱み・自分に足りないことの把握

これらの項目は、若手育成の現場でも非常に使いやすいフレームです。

棚卸の本当の価値は、“強みを増やすこと”ではなく、現状を正確に把握し、未来に向けて行動を設計できるようになることにあります。


第4章 スキル向上を止めないために

若い頃は知らないこともたくさんあるので、毎年多くのスキルを身につけることができると思います。若ければ若いほど吸収力も高いので、ぜひ積極的に自分のスキルを意識してください。

一番気を付けなければならないのは、習得したスキルをグラフ化した時に飽和曲線(成長が止まった状態・新しいスキルをあまり習得できていない状態)にならないことです。常に学び、スキルの向上を継続することが必要です。

年齢が高くなると新たなことを学ばなくてもある程度の仕事はできます。しかし、ここでスキルの向上が停滞しないようにしていただきたい。
年齢を気にせず、新しいことに挑戦し続け、スキル向上のために行動を続けることが重要です。

若手育成の観点から見ると、「飽和曲線を作らない」ためには2つのポイントがあります。

1.半年に1つ、新しい武器を手に入れる

例えば、AI活用、資料作成力、コミュニケーション、プレゼンなど、
半年に一つでも新スキルが増えれば3年後には大きな差になります。

2.苦手領域を避けない

成長速度が最も早いのは、弱みに向き合った時です。
苦手な分野にあえて触れ、弱点を克服した若手は、小さな更新の積み重ねで長期的な成長曲線を形づくります。


第5章 スキルは“自分の人生を設計するための資産”

ぜひ、自分のスキルは自分でマネージメントしましょう!

スキルは会社ではなく、自分の人生の“資産”です。
自分で棚卸を行い、アップデートし続けることで、
・キャリアの選択肢
・収入
・働き方
・人生の自由度
が大きく変わります。

趣味・生活・経験・人間関係の知恵も含めて、あなたが身につけたすべての学びが、あなたを前に進める力になるのです。


おわりに

スキル棚卸は、自分の成長を「見える形」にするための最強の習慣です。スキルを高めることで、若手はより大きな責任を任され、キャリアの選択肢も確実に広がります。

企業側にとっても、若手が棚卸を習慣化してくれることで、適材適所の配置や育成計画が立てやすくなり、人的資本の向上や離職率の低減に大きく貢献します。

年齢に関係なく、新しい学びを取り入れ続ける人が最後に強くなります。
「自分のスキルは自分でマネージメントする」
この姿勢こそが、成長し続けるビジネスパーソンの条件です。

東京都内の企業様へは直接研修詳細のご説明に伺います。
また、東京都外の企業様へはZoomにてご説明させていただきます。
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この記事を書いた人

森田 浩史 代表・ビジネススキルアドバイザー、日立グループで38年間ITエンジニア・マネージャーとして培った経験を若手に提供
若手育成の専門家として、中小企業さまを中心にご支援させていただきます。