自己管理能力・スキル向上(成果を日々まとめる)
はじめに
ビジネスの現場で、特に若手社員に対して「今週は何をやっていたの?」という質問を投げかけることは、日常的なシーンです。若手でなくても、「今週1週間忙しかったけど、何をやっていた?」と思ったことはありませんか?
忙しさに追われて、気づけば一週間が終わってしまい、振り返りもできないまま新しい週を迎えてしまう――これは多くのビジネスパーソンが経験することです。しかし、振り返りを行い、日々の成果をきちんと記録することは、目標達成やスキル向上のために不可欠です。
このコラムでは、特に若手育成の観点から、日々の業務内容を整理し、成果を振り返ることの重要性について体系的に解説していきます。進捗管理やスキル向上に役立つ方法を示し、企業の人事担当者や管理者、若手の上長が、若手社員の成長を促進するためにどのようなサポートができるかを考察します。
1. 日々の振り返りの重要性
振り返りは、個人の成長において欠かせない要素です。特に若手社員にとっては、日々の業務をしっかりと振り返ることで、自分の進捗を確認し、目標に対する達成度を把握することが可能になります。
(1)進捗の可視化
日々の成果をまとめることで、自分が何をどれだけ進めているのか、具体的に把握することができます。進捗の可視化は、次のような効果をもたらします。
- 達成感の実感
自分が進めてきたプロジェクトやタスク、業務が可視化されることで、目標に向けた進捗が見える化され、達成感を感じやすくなります。特に、モチベーションが低下しやすい若手社員にとって、日々の成果を確認することはモチベーション維持に有効です。
- 計画修正の指針
日々の業務内容を記録することで、当初計画していた目標とのギャップを分析できます。自分の予定と結果の乖離を把握することで、計画の見直しや改善点を洗い出すことができ、スキル向上や自己管理能力の強化につながります。
(2)スキル向上の証明
成果の記録は、単なる進捗の確認に留まらず、スキル向上の証明にもなります。たとえば、特定のツールの使用方法を習得したり、新しい知識を得たり、したことが記録として残るため成長を実感しやすくなります。これは、若手社員が上長に自分のスキル向上をアピールする際にも役立ちます。
2. 記録の具体的な方法
実際に成果を日々まとめるためには、シンプルで継続しやすい方法を取り入れることが重要です。複雑なシステムや手間のかかる方法では、若手社員の負担が増し、継続が難しくなる可能性があります。
(1)シンプルな記録法
基本的な記録方法としては、エクセルや簡易なメモツールを使用することで十分です。例えば、エクセルの表を使い、日にち、予定、実際に行ったことを記載するだけでも十分です。こうしたシンプルな形式でも、効果的な振り返りが可能です。
- 日付ごとの記録
各日の業務内容を簡潔にまとめることで、その日の進捗や重要な出来事を振り返ることができます。
- 予定と結果の比較
あらかじめ設定した目標や予定と実際の結果を並べることで、どのタスクが完了し、どの部分が計画通りに進まなかったかを視覚的に把握できます。
(2)記録の例
たとえば、次のような形式で日々の成果をまとめることができます。
- 例:
- 社内会議で新製品について議論
- △△ツールの使用方法を調査し習得
- 顧客$$社**様との新規開発に関する打ち合わせ
- 案件??の見積もりを作成
作成例
このようにシンプルな羅列でも、自分が何を成し遂げたか、誰とどのような打ち合わせを行ったかが明確にわかり、進捗を把握することが可能です。「いつ誰と会ったか」がわかるだけでも非常に重宝します。例えば顧客さまへのフォロータイミングなどを検討することができ、非常に有効な活用ができます。
3. 振り返りを習慣化するメリット
振り返りを日々行うことには多くのメリットがあります。単に業務内容を確認するだけでなく、長期的な目標達成やスキル向上の基盤を築くことができるのです。
(1)自己管理能力の向上
振り返りを通じて、自己管理能力が向上します。自分が何にどれだけ時間(期間)を費やしているかを把握することで、今後の業務計画をより効率的に立てることが可能になります。すなわち、時間管理の面で改善すべき点があるのかなどが明確になります。
(2)継続的なスキル向上
日々の振り返りは、スキル向上のための最も確実なステップです。若手社員は特に、新しいスキルを習得する機会が多くありますが、その成果を可視化し、振り返ることで、成長のペースを自覚できます。また、自分の弱みを見つけることができます。これは、上長からのフィードバックや自己評価にも役立ち、自己成長への意識改革を促します。
4. 若手育成における記録の活用
企業として、若手育成の一環として日々の記録を奨励することは、重要な施策の一つです。記録をベースにした定期的なフィードバックや、スキル向上のサポート体制を整えることで、若手社員の成長を加速します。
(1)上長のサポート
上長は若手社員の記録を確認し、進捗に応じた適切なフィードバックを提供することが求められます。進捗が芳しくない場合には、目標の再設定や業務方法の見直しを促し、成長のサイクルをスムーズに回すサポートを行います。
(2)人事担当者としての役割
企業の人事担当者は、若手社員が日々の成果をまとめ、振り返る習慣を持つことを奨励すべきです。定期的な研修やサポートプログラムを通じて、進捗管理やスキル向上の重要性を伝え、自己管理能力の向上を支援する体制を整えることが必要です。
おわりに
日々の成果を振り返り、記録することは、若手社員の育成にとって非常に効果的な手段です。進捗の可視化やスキル向上の確認、自己管理能力の向上など、多くのメリットをもたらします。企業としても、こうした習慣を奨励することで、若手社員の成長を促し、組織全体の生産性向上につなげることができます。
人事担当者や中小企業の管理者は、若手社員が日々の業務を振り返る習慣を身につけられるよう、サポート体制を整え、定期的なフィードバックを行うことが求められます。成果を日々まとめることは、スキル向上と成長のための確実な第一歩なのです。
まずはあまり頑張り過ぎず、日記のように日々やったことの羅列でも十分効果があります。その日にやったことをきちんと記録することから始めてみましょう。
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この記事を書いた人
森田 浩史 代表・ビジネススキルアドバイザー、日立グループで38年間ITエンジニア・マネージャーとして培った経験を若手に提供
若手育成の専門家として、中小企業さまを中心にご支援させていただきます。