社内の周囲の人、スキルに好奇心を持つ(仕事の効率化)
はじめに
皆さんは、隣の人がどのような仕事をしているか、どのようなスキルを持っているかを知っていますか?隣のグループの業務内容やスキルについてはどうでしょうか?
ある日、私が部下に「隣の人がどのような仕事をしているか、どんなスキルを持っているか」を尋ねた際、多くの人が「知らない」と答えました。さらに、隣のグループの仕事内容やスキルについても、ほとんどの人が把握していませんでした。
この現状は非常にもったいないことです。もし自分の周囲のスキルや知識について把握できていれば、業務を効率的に進めたり、困難な問題をスムーズに解決したりすることができるからです。
好奇心を持って周囲の人のスキルに興味を持つことは、若手育成やスキルアップ、そして仕事の効率化にもつながる非常に重要な要素です。本コラムでは、「好奇心を持つこと」がもたらすメリットと、それを日常業務でどう実践すべきかについて解説します。
1. 好奇心が生む効率化
仕事をする中で「これが分からない」と思う瞬間は誰にでもあります。しかし、その問題の答えを周囲の誰かが知っている場合、すぐに相談することで問題を解決できます。たとえば、自分が抱える課題に隣の席の同僚が詳しかったとしたら、簡単にアドバイスをもらえるでしょう。また、隣のグループにその分野の専門家がいれば、より深い知見を得られるかもしれません。
このような状況を日常化するためには、社内のスキルを「共有可能な財産」として捉え、それを積極的に活用する意識が必要です。特に、誰がどのスキルに強いのかを把握することは、業務効率化の鍵を握ります。
具体例を挙げると、ある企業では部署ごとに得意分野や担当業務を一覧化した「社内スキルマップ」を共有しています。このマップを参照することで、どの部署に質問すれば問題を早く解決できるかが分かり、業務全体のスピードアップが実現しました。
こうした取り組みが広がれば、無駄な時間を削減し、会社全体のコストを抑えることにもつながります。好奇心を持つことは、こうした効率化の第一歩なのです。
2. スキルマップの活用で得られる効果
前述したように「スキルマップ」とは、社内の誰がどんなスキルを持っているのかを可視化したツールです。このマップがあると、業務上の課題やプロジェクトに必要なスキルを持った人を迅速に特定できます。
新たなプロジェクトを立ち上げる際、スキルマップを活用して適切な人材を配置することで、チーム全体の生産性を高めることができます。また、若手社員にとっても、マップを通じて「このスキルを持っている人に相談すればいい」と分かるため、迷いなく学びの機会を得られます。
さらに、スキルマップは自己成長を促す道具としても有効です。自身のスキルがどの分野で不足しているかを把握することにより、新たな目標設定やスキルアップの計画が立てやすくなります。これは若手育成だけでなく、全社員の能力向上にも寄与します。
このスキルマップを個人単位で作成してみることも有効です。例えば、「隣の席のAさんはデータ分析が得意」「隣のグループのBさんはプレゼン資料作成が上手」など、自分なりに周囲のスキルを把握するのです。これにより、社内のリソースを有効活用できるようになります。できれば、周囲の人のスキルぐらいであれば自分の頭の中にスキルマップを作成しておきましょう。
3. スキルを通じたコミュニケーション活性化
スキルをきっかけに周囲の人と会話をすることで、コミュニケーションの活性化にもつながります。たとえば、他の部署やチームの人と積極的に会話を交わすことで、スキルや業務内容についての理解が深まり、社内の連携が強化されます。お互いの得意分野を話題にすることで、関係性が深まり、仕事における信頼感も向上します。
ある中小企業では、毎月「スキルシェアリングミーティング」を開催しています。この場では社員が自身の得意分野や業務内容について発表し、他の社員がその知識を共有します。こうした活動は、社員同士の信頼関係を強めるだけでなく、新しい視点やアイデアを生む場にもなります。
さらに、若手社員がこのような場に参加することで、先輩社員の知識や経験に触れる機会を得られます。同時に、自分のスキルを披露することで、社内での存在感を高めることができるのです。このような活動を通じて、組織全体の人材力が向上します。
4. 好循環を生むスキル提供
自分のスキルが社内の誰かの助けになる場面があれば、積極的に提供しましょう。たとえば、新人社員がプレゼン資料の作り方に悩んでいる場合、自分の経験をシェアしてアドバイスをするだけで、彼らの業務がスムーズに進みます。
こうしたスキル提供が日常的に行われるようになると、助け合いの文化が根付いていきます。そして、その文化が組織全体の成長を加速させる土壌となるのです。特に中小企業では、一人ひとりのスキルが重要な役割を果たすため、このような好循環を作ることは、企業の競争力向上に直結します。
5. 好奇心を持つ日常習慣の作り方
好奇心を持ち続けるためには、日常的に実践できる仕組みを作ることが大切です。以下の取り組みを参考にしてみてください。
- 業務の合間に他部署の社員と情報交換をする時間を設ける
- 定期的にスキル紹介イベントや業務報告会を開催する
- 自分が持つスキルをチーム内で共有しやすい環境を整える
- スキルマップを作成し、定期的に更新する
これらを日常的に行うことで、社内のスキル共有が円滑になり、自然とお互いに好奇心を持つ文化が醸成されていきます。
6.好奇心から始まる成果向上の好循環
周りの人のスキルに好奇心を持つことで、お互いのコミュニケーションが生まれます。そしてこのコミュニケーションを通して、社内が活性化すると同時に社内でのスキルの共有を図ることができます。さらにスキルの共有は業務の効率化につながり、会社全体の成果向上につながるのです。
ぜひともこの好循環を実現させていただきたく思います。
好奇心👉コミュニケーション活性化👇
👆成果向上👈業務効率化👈スキル共有
· 好奇心 - 新しい情報やスキルに対する興味を持つ。
· コミュニケーション活性化 - 社内での対話が活発になり、情報交換が進む。
· スキル共有 - 各自の得意分野や知識が共有される。
· 業務効率化 - 問題解決が迅速化し、全体の効率が向上。
· 成果向上 - 組織全体での成果が高まる。
おわりに
「好奇心を持つ」ことは、個人のスキルアップや効率化だけでなく、企業全体の活性化に直結する重要な姿勢です。周囲の人がどのようなスキルを持っているのかに関心を持ち、それを共有し合うことで、組織全体の成長につながります。
繰り返しになりますが、ぜひ、隣の人がどんなスキルを持ち、どんな仕事をしているかに興味を持ち、積極的にコミュニケーションを図りましょう。その過程で、自分のスキルを広げるとともに、会社全体に良い循環をもたらすことができます。
本コラムで紹介したスキルマップの活用やスキルシェアの実践方法は、企業規模を問わず導入可能です。特に中小企業では、こうした取り組みが他社との差別化を図る重要なポイントになります。
企業の人事担当者や経営者の皆さまには、周囲の人のスキルに対する好奇心を促進する環境作りを進めていただきたいと思います。それが、個人の成長、組織の効率化、そして企業の持続的な発展に大きく寄与するのです。
東京都内の企業様へは直接研修詳細のご説明に伺います。
また、東京都外の企業様へはZoomにてご説明させていただきます。
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この記事を書いた人
森田 浩史 代表・ビジネススキルアドバイザー、日立グループで38年間ITエンジニア・マネージャーとして培った経験を若手に提供
若手育成の専門家として、中小企業さまを中心にご支援させていただきます。