トレンド情報入手とスキルアップ 〜本屋さん・展示会に行ってみよう〜

はじめに

みなさんは、トレンド情報や知りたいスキルをどのように入手していますか?


ネット検索、SNS、YouTube、ニュースアプリ…便利さのかたまりみたいな情報源が溢れる時代ですが、そこには“落とし穴”もあります。アルゴリズムが自分の興味の世界を縮めてしまうことに注意しましょう。世界は広いのに、なんだか似た話題ばかりに囲まれてしまうことになりませんか?

多くの若手が「ネットで十分です」と答えます。確かに、検索すればすぐに情報は出てきます。しかし、ネット情報だけでは「視野の広さ」「判断力」「発想力」が育ちづらいのです。

ビジネススキルは検索で得られる“正解集”ではなく、自分の頭で比較し、考え、つなげる力から磨かれます。

そこで私のお勧めはまず、本屋さんです。ここはトレンド情報の宝庫だと考えています。ぜひ、定期的に足を運んでください。そして、様々な分野の書籍を見て欲しいと思います。ページをめくる手触りや背表紙の並びから、人々がいまどんなテーマに関心を寄せているのか、どんな未来が語られているのかを感じることができます。

リアルな空間にはネットとは異なり、思いがけない発見があります。

若手にとって、こうした偶然は知的好奇心を鍛える貴重な体験となります。


第1章 トレンドの発見「本屋さんで未来が見える」

私がDXに関する事業化で調査しているときには数冊のDXに関する本しか棚には置かれていませんでした。今では驚くことに、何の説明もなく新聞やTV等にDXと言う言葉が躍っています。

ここで、本屋さんに目を向けてみると何がわかるでしょう。
書籍の背表紙がポイントです。DXと書かれた本がどれほど多いかで現在のトレンドを知ることができます。棚に並ぶ背表紙は、社会の“関心の断面”です。さらに、AI、働き方改革、人的資本経営…背表紙の密度は、流行りではなく“時代が向かう方向”も教えてくれます。SNSが流行を追いかける場所だとすれば、本屋さんは流行を生み出す場所とも言えます。


このように本屋さんに行ってみて背表紙を見てそのキーワードの多さから様々な分野のトレンドを学ぶことができます。


第2章 成長のための情報「多様なジャンルに触れる」

私はエンジニアでしたので、技術書の棚を訪れることが多かったのですが、皆さんにはぜひ、様々な分野の本棚に目を向けて欲しいと思います。

一番の典型はビジネス書の棚です。自己を成長させるための本がたくさん陳列しています。様々な考え方から手法まで。普段考えたことのない経営の本も意外と面白いものです。

ここでのポイントは字ばかりの本は少し敬遠しがちかと思いますので、そんな時はぜひ漫画化されている書籍を見てください。経営の神様と言われるピータードラッカーなどの著名な人の本や多くの皆さんに読まれている本ほど漫画化されています。とても分かり易いので是非一度手に取ってみてください。

また、例えば社会人として必須のスキルとわかっていても意外とプレゼンテーションの本、コミュニケーションの本など普段気にも留めていないのではないでしょうか?とても役立つものが多くあります。あ、こんなやり方があったのか、こんなことに関する本があるのかと発見があるでしょう。

上司に推奨のビジネス書を聞くのもいい方法だと思います。そして本屋さんで、その本を手に取るだけでなく、その周りにはどんな本があるのかを観察してみてください。同じ著者の本、関連したタイトルの本から様々な情報が得られます。

本屋は“関連情報に気づける場”と言うことを覚えてください。目的の本だけでなく周りの棚にある類書を見ると、より深い理解ができます。


第3章 トレンドの発見2「展示会で“未来の熱量”に触れる」

トレンド情報を仕入れる方法に先ほど本屋さんをあげましたが、もう一つ最適な場所があります。展示会です。様々な分野の展示会が毎年幕張メッセや国際展示場などで行われています。ぜひ、足を運んでください。無駄になることはありません。

展示会の醍醐味は“未来予測を体感できる”ことです。

展示会では当然ながら最新の製品が数多く展示されており、多くの製品や技術動向のプレゼンが行われています。興味のある製品のブースの前で聞いているだけでも勉強になります。また、特定テーマのカンファレンスも実施されています。

ここでの重要ポイントは「質問のし放題」です。大切なのは、机上の理論より“現場の真実”を浴びることです。私も説明員として立った経験がありますが、質問してくれる若手は、それは“知ろうとする姿勢”に熱量が感じられます。

展示会はビジネススキルを実践的に磨く場にもなります。

・わからないことを聞く勇気
・新情報に触れたときの吸収力
・人から直接学ぶ姿勢

資料やカタログを持ち帰り、社内で共有することでチームの力も向上させましょう。


第4章 リアルの場が若手育成を加速させる

ネットで学べる時代に、なぜあえて足を運ぶのか。本屋の空気は、世の中が何を考え、どんな悩みを抱え、どんな夢を見ているかを教えてくれます。
展示会の空気は、競争、革新、期待、課題、熱量が混ざり合っています。

若手育成における最大の壁は「自分の仕事の範囲に閉じこもること」。リアルの場所に出ると、視野が広がり、語彙が増え、会話力が育ちます。職場にいながら外の世界を感じる人は、変化に強く、これはAI時代の重要な戦略となります。


おわりに

ネットの情報は便利です。けれど、便利さはときに視野を狭めます。

街に出て、本に触れ、人の熱意に触れ、知らない世界を味わう。その積み重ねがあなたのキャリアに深みを与えることになります。新しい発見に出会い、刺激を受け、知らないことにワクワクできる人は、仕事でも成長します。

ぜひ、次の休日は本屋さんへ。
次の月は展示会へ。

未来のヒントは、検索欄の外側に転がっています。足と目と耳で拾った情報は、あなたの成長の“本物の財産”になります。

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この記事を書いた人

森田 浩史 代表・ビジネススキルアドバイザー、日立グループで38年間ITエンジニア・マネージャーとして培った経験を若手に提供
若手育成の専門家として、中小企業さまを中心にご支援させていただきます。