一人称で話す〜やる気とチームの推進力〜

はじめに

私はこれまで多くの若手育成の現場に携わってきました。その中で強く感じているのは、「一人称で話す」ことの大切さです。とくに若手社員が組織の中で自信を持って動き、成長していくためには、自ら「私がやります」と言える主体性と環境作りが必要です。

基本的に仕事は待っていても誰かが教えてくれるものと考えていてはいけません。職場では、自発的な行動が必要とされ、成長につながります。

本稿では、私自身の経験や現場での気づきを通して、「一人称で話す」ことがもたらす効果や育成のヒントを解説します。


1. 一人称で話すとは何か?

みなさんは、上司に「誰かこの仕事やってくれないか?」と言われたときにどうしますか?

躊躇なく、“私が”やりますと言えますか?

上司の方々は多忙です。誰のタスクが終了しているか、余裕があるかを把握できていない場合もあります。そんな時、誰かを指名して仕事を依頼するのではなく、「誰かやってくれないか」と依頼する場合もあるでしょう。

こんな時、少しでも自分の仕事に余裕があるのであれば、少しの勇気を出して、「私がやります」、「私にやらせてください」と申し出てみましょう。

このとき大切なのは、「私がやります」と一人称を明確に使うことです。単に「やります」ではなく、「私がやります」と言い切ることで、自分のやる気や責任感が相手に伝わります。特に若手の頃はこの“言葉の違い”が、成長のスピードを早めます。

ポイントは“私”と言う一人称を意識することです。

この一人称での“私”を強調することにより、やる気が感じられます。どうせやるなら、他人任せではなく “、”私がやります“と気持ちよく仕事を引き受けましょう。「私がやります」という表現は、自己主張のように見えて、実はチームの空気を前向きに変える力も持っています。


2. 若手こそ“私”を意識すべき理由

若手育成において、「指示待ち」の姿勢は避けたいですね。

自分から疑問を投げかけ、「この部分を私に任せてもらえますか?」と一歩踏み出す姿勢が成長への効果を高めます。

何事も自分からやる、自分から動くことが大切です。待ちの姿勢ではなく。

それに、ちょっとかっこいいですよね。“私”は、主体性が感じられる言葉です。

「私」という言葉を使うだけで、若手は自分自身を一段高めることができます。そして、その積極性が成長への基礎となるのです。

若手が「私にやらせてください」と名乗り出ることで、

  • 上司はそのやる気を評価します。
  • 周囲も「お、あいつ動いたな」と認識します。

このやる気は、仕事に対する高評価にもつながります。

上司は何気ない一言でも、しっかりその応答を聞いています。見ています。

もし、これを読んでいる方に部下、後輩がいれば、しっかりこのようなふるまいを観察し、正しい評価へつなげてください。


3. “私”がもたらす5つの好影響

「私がやります」と言うことは、ただの言葉ではありません。それは行動の意志表示であり、組織へのポジティブな信号でもあります。以下に、この一人称の使い方がもたらす効果を整理します。

(1)やる気が感じられる

「私がやります」という言葉は、単なる意欲以上に、周囲に“やる気”を伝えるメッセージにもなります。特に若手の頃は、影響力と言う点でも評価の大きなポイントとなります。

(2)仕事の信頼につながる

自ら進んで取り組む姿勢は、評価の対象です。「頼まれたからやる」よりも、「私が進んでやる」方が信頼に直結します。

(3)自分の気持ちが変化する

不思議なことに、「私がやります」と口にした瞬間から、仕事への責任感や取り組み姿勢が自然と引き締まります。“私”と言う言葉は相手に対する「やる気の表示」だけでなく、自分の気持ちも高まるでしょう。

(4)新たな経験・スキルの習得ができる

依頼されたものが新しい仕事の場合には、新たな経験・スキルの習得につながります。

どうせやるなら、“私”を強調して仕事を引き受けましょう。新しい仕事を引き受けることで、今まで触れてこなかった分野にチャレンジできます。これは必ずスキルアップにつながります。

(5)上司との関係性に好影響

上司は、困っているときに手を挙げてくれた部下のことをよく覚えています。それが信頼関係の土台となり、次の仕事のチャンスにもつながるのです。上司と部下の関係性に好影響を与えます。


4. “私”には勇気がいる

もちろん、「私がやります」と言うのはちょっと勇気が必要な場合もありますよね。とくに経験の浅い新人にとっては、不安やプレッシャーがつきまといます。

これまで経験のない仕事の場合、「失敗したらどうしよう」、「結局上司に迷惑をかけるのではないか」と考えてしまうこともあるでしょう。

こうした気持ちはよく分かります。しかし、会社は組織であり、すべての仕事を一人で完結させる必要はありません。

「この部分はわかっています。でも、ここだけは誰かにフォローをお願いしたいです」
と、はっきり申し出ればいいのです。

他の人も一部であれば、現在の仕事の合間にできる可能性もありますし、複数人でやるのであれば気が楽になり、参加できるのではないでしょうか?

このように仕事を進めることでチームワークの向上が期待できます。

素直に相談・協調できることこそが、チームで仕事をするということです。

“私”と手を挙げつつ、適切に助けを求める。そのバランスが、現代の若手育成において非常に重要です。


5. チームの好循環を生む“私”

私は、「やる気の共有」ができるといいと考えています。
「私がやります」と口にした人が一人でもいると、周囲もその熱意に引っ張られるように動き出します。

(1)やる気が連鎖する。
(2)協力が自然と生まれる。
(3)チームとしての推進力が高まる。

この“好循環”は、一人称の力で生まれます。“私”と言う言葉を常に意識して、やる気を共有し、仕事に臨むことでチームの好循環につなげましょう!

仕事は、最終的に組織全体がよい方向へ向かうことが重要です。


おわりに

「私がやります」という一言には、思った以上の力があります。それは、若手のやる気を伝え、スキルの向上の機会を増やし、チーム全体の雰囲気を変える力です。

特に新人の段階で、この一人称の意識を根付かせることが、将来的な若手育成に大きな影響を与えます。自ら主体的に動ける人財を育てるためにも、この「一人称で話す」ことをぜひ取り入れていただきたいと願っています。

会社は、個人の集まりであり、チームです。一人の“私”が立ち上がることで、周囲が変わり、組織が動きます。 どうせやるなら、前向きに。


「私にやらせてください」
その一言が、あなた自身とチームの未来を変えていくのです。ぜひ、これを促進する環境作りを進めていただきたいと思います。

それが、個人の成長、組織の効率化、そして企業の持続的な発展に大きく寄与するのです。

東京都内の企業様へは直接研修詳細のご説明に伺います。
また、東京都外の企業様へはZoomにてご説明させていただきます。
お気軽にお問い合わせよりご連絡ください。

この記事を書いた人

森田 浩史 代表・ビジネススキルアドバイザー、日立グループで38年間ITエンジニア・マネージャーとして培った経験を若手に提供
若手育成の専門家として、中小企業さまを中心にご支援させていただきます。